夕闇ト影ト綺羅星ノ館 アルビレーブ庭園

外の庭にやってきた。
太陽はではない変な星がここを照らしている。
はっきり言うと夜の体育館より暗い。
蛍光灯の豆電球くらいの明るさだ。
エリーはひたすら前を歩いていく。
「あっ、あのさ・・・。何か紹介してよ。」
エリーは無視したままだ。
「ねぇ。」
するとエリーの足が止まった。
一つの墓の前だった。
『Ely Hatred Aurora』
僕はそれを見て、
「なんだ?エリー、何とか・・・・オーロラ?」
するとエリーが
「オーロラは私の苗字よ。エリーは私の名前。」
「えっ?どゆこと?」
するとエリーは重い口調で、
「私はだいたい18万年前、三界に戻ろうとして死んだの。」
「えっ?」
僕は詳しい話しを聞く。
「ダグラの魔法によって世界が分かれたって話したわよね。
その事を『大焦化』っていうの。そのとき人は必死に離れていく崖を跳び越そうとしたわ。
世界が二つに分かれる崖よ。そこに落ちた人はみな死んだわ。私もその一人。
でも私はこの館の主人のジェス様に魂だけを助けられ、この姿で生きているの。
昔の私はこんな感じじゃなかったしね。」
僕は話を聞いて軽率に
「ジェスってだれ?」
と聞いた。するとエリーはあせって
「ジェス様の話は出来るだけ控えるようにしてください。
ジェス様は焦界と三界が分かれる時に、ダグラ様の遺志を受け継いだ人よ。
それもたった一人。そしてこの城にこもって焦界の営みを必死に保っている人よ。
ここは太陽も無いし、物を動かす力は全部魔力なの。
でもジェス様は城にこもった時から人間不信になってしまったの。
ここの世界をひとりで担うには荷が重過ぎるわ。でも、しかたないのよね。
あっ、でも魔法は好きよ。
あなたと話すことが出来るのも私があなたに聞こえるように魔法をかけているからなのよ。」
「ふ〜ん。そうなんだ。」
と僕はつくづく感心してしまう。
「そうだ!ねぇあなた。三界のお話してよ!どんなところなの?」
とエリーは目の色を変えて聞いてくる。
「えっ、ああ。じゃぁさ。城の外に出ようよ。そこで話すからさ。」
「あら、分ったわ。あっ、それとあなたの名前聞いてなかったわね。なんて言うの?」
「あぁ。えぇ〜っと瀬田川コウだよ!」
「へぇ。コウちゃんって言うんだ。」
「えっ?いや・・・・・」
と照れくさいものの何か楽しかった。
そうだ。僕はコウ。瀬田川コウだ。

僕らは城の外の城下町を散策して見ることにした。

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