夕闇ト影ト綺羅星ノ館 焦界の商店街、城下町にて

「ここが城下町で一番にぎわうところ。ドルティック横丁街よ。」
というのはエリー。
どうやらここがこの世界で一番にぎわうところらしい。
しかし、あまりこれというものは無く、近所の商店街よりショボかった。
でも店舗の数は異常といっていいほど多く、おもしろい。
「ねぇねぇ。コウ。早く三界のことはなしてよぉ。」
とせわしく聞いてくるエリー。
「わかった。わかった。でもさ、三界って言っても天国とか地獄とかいったことないし・・・・・・。」
と困るコウだが、エリーはそんなことはどうでもよく、
「いいのよ。なんでも。話して!!」
という。コウは仕方なく話す。
「僕のいた世界にもこういう商店街があってね・・・・・・・・」
この間はなんだろう。話しきれないほど話したのにまだ思い浮かぶ。
お正月、お月見、夏休み、普段の家のことでもこの世界とは違うところがありすぎて止め処なく出てくる。
そしてクリスマスの話に入ったとき、
「クリスマス?それならこの世界にもあるわ。1年に1回だけあるこっちの世界から向こうの世界へ1人だけいける日よ。」
えっ?と僕は思った。一年に一回だけ?しかも一人。
でも僕はエリーの言うクリスマスともといた世界のクリスマスが違うことを説明する。
「違う違う。クリスマスは、もみの木に飾り付けして、美味しい料理を食べて、家族団欒ですごす日のことだよ。
プレゼントの交換とかするんだよ。とっても楽しいよ。」
しかしコウはさっきエリーが言ったことを思い出して
「でもさ、さっきエリーが言った1年に1回戻れる日って何?」
するとエリーは顔を伏せ、しばらくしたのちに、
「後で話すわ。」
といった。

しばらく歩いていると服屋のおじさんから声をかけられた。
「おい、そこの兄さん。いいものがあるんだけどさ、買ってかないかい?安くするからさ・・・・・・。」
と威勢のいい掛け声をコウにかける。
そのときはエリーに引っ張られたので何も買わずにすんだ。
「たまに変な商売人もいますから気をつけてくださいね。」
といわれた。
するとちょっと眼を離した隙にエリーはどっかにいなくなってしまった。
「あれ?エリー!おかしいな?どっか行っちゃったのかな。」
とコウは思った。
しばらく街を歩いているといかにも変な商人に引き付けられ
「おい坊ちゃん。ちょっとこれ食べてみてくれないかい?元いた世界に戻れるかもしれねぇぜ。」
とコウを知っているかのように話しかけてきた。
「何で僕が三界から来たってわかるの?」
「へへへへ。長年魔術をやってたモンでな。そういうことは分るのさ。」
コウはそのわけの分らない食べ物に手を出そうとした。
するといきなりエリーが現れて
「やめなさい。こんなもの食べたって三界に戻れるわけないですわ。」
といい変な商人を突き返した。
「へん。なんでぇ。」
と商人は言ってそそくさと逃げていった。
「何処行ってたの?」
と聞くと、
「この街はいろいろと危ない人がウロチョロしています。気をつけてください。」
と怒り調子でコウに行った。
「あれは『バラバラ』といって一種の麻薬ですわ。恐らくあなたを填めようとしたのでしょう。
いろいろこの世界は危険なので今度からは気をつけてくださいね。
普通は三界に戻れるわけ無いんですから。」
と言った。
「さて、そろそろ城に戻りましょう。」
「えっ?あっ?わかった。」
コウはあまり言ってることがよく理解できなかったが
この世界ではエリーについていることが上手く生きていく方法だということを覚えた。
暗いくらい世界が余計に暗くなる夜。
それが今から訪れようとしていた。

僕はとことこ歩くエリーの3歩後ろくらいをゆっくり城に向かって歩いていった。

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